国語の先生presents 高校生に夏休みに読んで欲しい本~ver.1

シリーズでお伝えする『国語の先生がオススメする1冊!』
記念すべき第一回はこちらの本をご紹介します!

「手紙屋」蛍雪篇~私の受験勉強をかえた十通の手紙~

喜多川 泰 著 ディスカバー・トゥウェンティワン

何のために勉強するのか

「今、なんで勉強しているの?」

この質問は私が個人面談で必ず生徒にする質問です。答え方は様々で、「卒業するため」「自分の将来のため」「可能性を広げるため」「いい大学にはいるため」「教養を身に付けるため」と様々な答えが返ってきます。
生徒によっては「そういえば何のために?」となって答えられない人もいます。あなたは今何のために勉強をしていますか。そんなことをじっくり考えたことがありますか。

「勉強を何かにやらされている人」は勉強が好きではなくなってしまいます。上記の質問は、実は「勉強を何かにやらされている人」から「自分で好んで勉強する人」になるための第一歩となる質問だと私は思っています。

進路について悩む高校2年生の和花

この本は、そんな質問から始まります。この本は、勉強する気が起きず、進路も大学に進学するか就職するか迷っていた主人公の和花が、手紙屋との10通の手紙のやり取りを通して勉強が楽しくなっていく過程を描いた本です。和花から手紙屋への返事を読むと、勉強が「しなければならないもの」から「したいもの」に変化していく和花の姿が浮かんできます。

最初の手紙は和花のこんな言葉で始まっています。

「私は今、高校二年生です。実は将来の進路について、ちょっと悩んでいます。気持ち的には大学に行きたいっていうのが一番強いんです。でも『何のために』って聞かれると自分でもわからないんです……」

勉強を自分の手元に取り戻す

和花からの最後の手紙にはこう書かれています。

「手紙屋さんと出会う前の私は、大学生になれたら、四年間羽を伸ばして思いっきり遊ぼうなんてことばかり考えていたんですけど、今は全然違うことを考えています。今は、早く大学に行って、もっともっといろいろな勉強がしたくてうずうずしているんです……」

大学に行きたい理由が変わっていますね。最初は遊びたいから大学に行きたかったのですが、最後には学びたいことがあるから大学に行きたいというふうになっています。

この和花の変化はどうしてでしょうか。

「勉強しなければいけないのにできない人」「勉強したほうがいいと分かっているけどやらない人」が世の中にたくさんいます。和花もその一人でした。その和花は手紙屋に「勉強するのをやめてほしい」と言われました。その結果、和花は受験勉強を一生懸命やり、行けそうになかった大学に合格し、担任に「君ほど一気に成長した人はいない」と言われるようになりました。なぜでしょうか。

それは勉強を自分の手元に取り戻すことができたからです。この本を読めば誰でもそうなるとは言えません。でも、何かヒントは得られると思います。

かつて勉強を人に例えると「嫌いな友達」と答えた生徒がいました。彼がこの本を読んだとしたら、勉強をどんな人に例えるのか非常に興味深いです。

この書評を簡単にまとめるとこんな感じになります(笑)