新たな教育に挑戦する人たち!〜イエナプランとの出会いが私を変えた〜part1

教育に真剣に向き合い、新たなカタチを模索し、挑戦する−−。
HALOMYでは、そんな挑戦者たちの活動をご紹介していきたいと思います。
今回から3回にわたってご紹介するのは、イエナプランに挑戦する川崎知子さんです!

目次

子どもに言うことを聞かせるのが教師の仕事だと思っていた

−− 川崎さんは2017年9月に小学校教員を辞めてご家族でオランダに移住し、現在、オランダでイエナプランの研究を続けていらっしゃるそうですね。イエナプランと出会ったきっかけを教えてください。

私がイエナプランを知ったのは2009年です。きっかけは、『いま「開国」の時、ニッポンの教育』(リヒテルズ直子・尾木直樹共著)という本を読んだことでした。それから、リヒテルズさんの本を読んだり、講演会に足繁く通ったりしました。イエナプラン の「教室はリビングルーム(生活の場所)」という考え方がとても好きで、教室をもっと居心地の良い場所に出来ないか、と考えました。

−− 今でこそ、イエナプランを知る人も少しずつ増えてきた印象ですが、2009年当時は関係者も少なかったでしょうね。「教室をもっと居心地の良い場所に出来ないかと考えた」とのことですが、クラスを運営していくうえで悩みがあったのでしょうか?

教員になって2,3年目に小学5,6年生を担任したのですが、そのクラスが学級崩壊のような状態になりました。その頃の私は、「子どもに言うことを聞かせること」が教員の仕事だと思っていました。子どもたちが言うことを聞かないことで自分が指導力不足と思われることや保護者からのクレームも恐れていました。また、威厳がほしいとも思っていました。そして、いつも翌日の授業をどうしたら良いか悩み、こんなんじゃつまらないだろうな、と思いながら授業をしていました。だから、日曜日の夜はとても憂鬱でした。

一方で、「言うことを聞かせること」に注力しつつも、高学年になると今度は急に子どもたちに主体性を求めたりもするわけです。ところが、教員側に主体性を導く枠組みがないと、子どもたちはどうしていいのかわかりません。その結果、クラスは荒れてしまったのだと思います。そんな感じでとてもが苦しんでいる時にイエナプランに出会いました。

満面の笑みの裏で、とても苦しかった教員時代

教室はリビングルーム

−− イエナプランを知って、どう感じましたか?

一番素敵だなと思ったのが、教室を「リビングルーム」と呼ぶことです。「教わる場所」ではなく、「生活する場所」、そしてリラックスできる場所という意味合いにとても惹かれました。

でも、一方で、イエナプランを自分のクラスで実践するのは無理だとも思いました。異年齢学級でもないし、ガチガチの時間割があるし、相談できる同志も校内にいないし…。しかも、日本人同士でサークル対話(全員で輪になって話し合うこと)をやっても、慣れている人だけがたくさんしゃべったり、「何か言わなくちゃ」という変な義務感を感じたり、そんなに居心地のいい空間ではないような気がして、日本人の文化には馴染まないとさえ感じていました。

それでも、私の中で、イエナプランをもっと知りたいという気持ちは大きくなるばかりでした。

−− そして、2015年夏にはオランダへ1週間のイエナプラン研修に行かれますね。

森の中にある研修施設の大きな窓からは緑を眺めることができ、部屋にはソファがあり、花が飾られ、いつでもお茶が飲めるという空間で、イエナプランで大切にしている“サークル対話”を何回も体験しました。

ところが、ある対話の最中、私はどうしても内容に興味が湧かず、ボーッと考え事をしていました。そして、その時、不思議と居心地の良さを感じたんです。

「そうだ!私には、自分を客観的に見つめたり、じっくり考えたりする時間が足りなかったんだ」と気づきました。

そして、教室でも「考えなさい」とか「紙に書きなさい」とかじゃなくて、もっと自由に考え事をする時間があっていい。全員が興味をもつ話題なんて出てこなくて当然で、それでも、友達のちょっとした一言が心に響くこともあるし、考えるきっかけにもなる。何か言いたくなったら言えばいいし、言いたくなかったら言わなくてもいいんだ、ということに気づいたのです。

サークル対話

−− 現地のイエナプラン校の見学もされたそうですが、どんな印象を持ちましたか?

一言で表すと、「1日中が落ち着いた休み時間」です。子どもたちも先生たちも、とてもリラックスして自然で、一人ひとりが自分で考えて行動しているんです。入学してすぐの4歳の子たちでさえ、先生が何も言わなくても、自分でトイレに行ったり、荷物を取りに行ったり。とても、とても自立していると感じました。そして、高学年の子たちは一人ひとりが自分の時間割を持って、自分の学習に集中している。まさに理想的でした。

リラックスしながらも自立しているイエナプラン校の子どもたち

ある一言で人生が変わった瞬間

−− それで帰国後、早速クラス運営に取り入れたのですね?

そうですね。本当は、「ちょっと体験的にサークル対話を取り入れてみようかな」くらいにしか考えてなかったんです。でも、研修の最終日にイエナプラン校の校長が言ったある言葉が私の行く道を大きく変えました。

−− え?どんな言葉があったんですか?

「多くの人は、自分に出来ることをやろうと考える。そうやって、自分の枠をどんどん狭めていく。だから僕は、こう考えるようにしているんだ。出来ること以上のことをやろう、って。」

つまり、あえて自分に負荷をかけ、リミッターを外すんです。もうこの一言にガツンときて、「これはやるしかない!!」と腹を決めました。難しくても日本でイエナプランを実践してみせる!って。私にとって、生涯忘れることのできない言葉であり、人生が変わった瞬間でもありました。

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まだまだ日本では知る人の少なかったイエナプランを知るためにオランダまで行った川崎さん。次回は、実際に日本の小学校でどんな反響や変化があったのかをお聞きします。お楽しみに!!

*イエナプランの特徴などについてはコチラをご覧ください!
【第二弾】オルタナティブ教育の魅力とは!?〜個人を認めるイエナプラン〜

川崎 知子さん
元教員。東京都の公立小学校で担任として11年間勤務。
2009年にイエナプランと出会う。2011年より日本イエナプラン教育協会の千葉支部としての勉強会「イエナカフェ」を開始し、墨田区や江東区では親向けにも開催。2015年にはオランダでのイエナプラン研修に参加し、イエナプラン校で子どもたちが自然に学ぶ姿に改めて感銘を受ける。2017年9月、家族でオランダに移住。現在、オランダでイエナラボを主宰しながら研究を続けている。日蘭イエナプラン専門教員資格取得。日本イエナプラン教育協会理事。


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