新たな教育に挑戦する人たち!〜イエナプランとの出会いが私を変えた〜part3

教育に真剣に向き合い、新たなカタチを模索し、挑戦する−−。
HALOMYでは、そんな挑戦者たちの活動をご紹介していきたいと思います。
3回連続企画の最終回!イエナプランに挑戦する川崎知子さんをご紹介します

新たな教育に挑戦する人たち!〜イエナプランとの出会いが私を変えた〜part1

新たな教育に挑戦する人たち!〜イエナプランとの出会いが私を変えた〜part2

目次

どうしてもオランダでイエナプランを学びたい!

−− 2017年には小学校教員を辞めてオランダに移住されますが、そのような決断に至った経緯を教えてください。

2017年秋にオランダで3ヶ月の研修が行われることになり、それに参加するために教員を辞めました。最初は休職して行くつもりだったのですが、休職が認めてもらえず、それならば辞めて行くしかないなって。

−− それは大きな決断でしたね。ご家族は反対されませんでしたか?

うーん、それが自分ではそれほど大きな決断ではなくて(笑)。その研修には絶対に参加したいと思っていたので、迷いは一切なく、ごくごく自然な意思決定でした。そもそも2009年にイエナプランに出会った頃からオランダに住みたいと思っていて、夫にもずっと「オランダで仕事探してみて?」と言っていたくらいなんです(笑)。

それと、正直なところ、小学校入学を控えた自分の息子を日本の公立小学校に入学させたくないというのもあって。

−− そうですか…。息子さんの入学にあたり、日本の公立小学校のどんなところに不安を覚えたのでしょう?

正直、学年が上がるにつれて、学校が楽しい場所から窮屈な場所になってくる子が多いように感じます。私は元公立小学校の教員として、その原因は学校にあるのではないかと、自戒を込めて思っています

45分間ただ座らされて話を聞く授業、禁止事項だらけの休み時間、急いで、しかも好き嫌いせずお行儀よく食べなければならない給食、どんなに綺麗でも雑巾掛けをしなければいけない掃除、極めつけは一律の宿題…。もちろん、そうでない学校、そうでないクラスもたくさんあります。でも、大半の公立小学校はそうです。

だから、もし、息子を公立ではなく私立の小学校やオルタナティブスクールに通わせるのなら移住しても同じかな、って思ったんです。

最終的には「私が家族を養うから、オランダに行こう!!」と言って、家族で移住しました。

気持ちのいいオランダの青空!

オランダでは義務教育は無償

−− お子さんたちは現在、7歳と5歳だそうですね。学校はどんな感じですか?

まず、オランダでは義務教育が無償で受けられます。16歳までが義務教育なのですが、そこには、国籍の異なる子どもや亡命希望者、難民の子どもたちも含まれます。そして、公立私立にかかわらず無償です。だから、学校は選びたい放題で、私たちが住んでいる周辺にも10校以上はあります。うちの子たちは、オランダ語を学ぶ必要があったため、今はイエナプランではなくオランダ語の特別支援クラスに通っています。

カリキュラムは、日本のように学校指導要領が細かくないので、学校裁量の比重が大きいですね。また、日本の小学生は帰宅後も宿題や塾通いで忙しそうですが、オランダの小学校では宿題がありませんし、アムステルダムのような都市部を除いては塾もほぼありません。だから、学校から帰ると、みんなのびのびと好きなことをして過ごします。習い事は安価で通えるので、自分の好きな分野で習い事に精を出している子は割りとたくさんいるようです。うちの子も、テコンドーを習いつつ、毎日のびのびと、とても楽しく学校に通っていますよ!

帰宅後は宿題や塾もなく、のびのび過ごす子どもたち

オランダと日本をオンラインで繋ぐワールドオリエンテーション

−− 現在、オランダで『イエナラボ』を主宰されているそうですが、これはどういう活動ですか?

日本に住む子どもを対象にオンラインでワールドオリエンテーション(=探究学習)を行っています。月3回が1セットで、毎月ひとつのテーマを決め、それについて問いを出しながらそれぞれが調べたり、深堀りをしたりして、最後に発表するという感じで進めます。人前で話すことが得意な子もいれば、話すのは苦手だけど書くのが得意な子もいるので、発表の形式はみんな違っていいんです。

−− どんなお子さんが参加されているのですか?

もともとは学校に行っていない子向けに始めたのですが、今は学校に行きながらラボに参加する子もいます。

ありがたいことに、お母さんたちからは「物事に対してあまり興味を示さなかった子が、物事の不思議に興味を示したり、調べてみたりするようになりました。」と言ってもらったり、本人からは「イエナラボで過ごしている時は本当の自分でいられる!」なんて嬉しい言葉をもらったりしています。

−− 一方で、難しさはありますか?

今はオンラインでやっているので、最終的に個人活動になってしまうところが難しさと言うか、課題ですね。グループでやればもっと相乗効果が出るだろうなと思いますし、子ども同士もリアルで会ったことがないので少しもったいない気はします。でも、私自身がやっていてものすごく楽しいですし、もしオフラインでできたらどんな化学反応が起きるのか、考えただけでワクワクしますね!!

オランダと日本をオンラインで繋いで探究学習

大人も子どもも学びを心から楽しめる世界に!

−− 最後に川崎さんが目指す教育の世界観を教えてください。

私は、いろんな先生がいていいと思っています。今の教育現場を見ていると、もともとは個性豊かな先生たちを採用システムや研修システムによって型に嵌めてしまっているような気がするんです。だから、もっと先生たちの個性を伸ばせるようになればいいなと。学びって本来はとても楽しいこと。大人も子どもも学びを心から楽しめるような世界にしたいです。そして、大人も子どももありのままでいられたら素敵だなと思います!

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インタビューの冒頭、「子どもに言うことを聞かせることが教師の仕事だと思っていた。」とおっしゃった川崎さん。そんな川崎さんはイエナプランに出会ったことをきっかけに、既存の教育手法に疑問をいだき、本気で教育変革を目指すことになりました。自らの目指す教育に向かって走り続ける川崎さんはとても強く、そして、輝いていて、「あるべき姿、ありたい自分を描いて歩んでいる人は掛け値なしに素敵だな」と、そう思わせてくれるインタビューでした。
大人も子どもも学びを心から楽しめる世界の実現に向け、HALOMYも頑張っていきます!

川崎 知子さん

元教員。東京都の公立小学校で担任として11年間勤務。
2009年にイエナプランと出会う。2011年より日本イエナプラン教育協会の千葉支部としての勉強会「イエナカフェ」を開始し、墨田区や江東区では親向けにも開催。2015年にはオランダでのイエナプラン研修に参加し、イエナプラン校で子どもたちが自然に学ぶ姿に改めて感銘を受ける。2017年9月、家族でオランダに移住。現在、オランダでイエナラボを主宰しながら研究を続けている。日蘭イエナプラン専門教員資格取得。日本イエナプラン教育協会理事。